お灸にまつわるエトセトラ~入門篇~

あんまマッサージ指圧師・鍼灸師 ぱんだ先生
2014年10月9日公開

 

今回は、メルマガ読者より質問がありました「お灸」について取り上げてみたいと思います。

みなさんは、「お灸」に対してどんなイメージを持っていますか?

「お灸をすえる」というと、悪いことをした子供にお仕置きをするような光景を思い浮かべる方も少なくないと思います。その影響で、「お灸は熱くて怖いもの」というイメージが定着してしまい、お灸への誤解や偏見が現在でも根強く残っていると感じます。

現代のお灸による施術は、「温かくて気持がよい」ものが主流になっています。

最近では、“お灸女子”なる言葉が登場し、“お灸”ブームの兆しが見え隠れしています。

今回は、そんなお灸の入門篇として、あれこれ取り上げてみたいと思います!

お灸の材料

お灸は「もぐさ」に火をつけて行います。

この「もぐさ」は、キク科の多年草植物である“ヨモギ”の葉の裏面にある柔らかい白い毛から出来ています。ヨモギの葉を乾燥させて、石臼でひき、ふるいをかけ、不純物を除去して作られます。

ぱんだ先生も、学校の授業で、ヨモギを採ってきて、実際にもぐさを作ったことがありますが、とても手間のかかる作業でした(@_@;;)

ヨモギは日本中に自生する、日本人にとって馴染み深い薬草であり、昔から「食べてよし、飲んでよし、塗ってよし」と言われ、食用としてはもちろん、祭事では菖蒲と同じ様に邪気をはらう目的に用いられたりと、生活の様々な場面で利用されてきました。

ヨモギは、ヨーロッパでは、その薬効の幅広さから「ハーブの母」と呼ばれてきました。

漢方では、「艾葉(がいよう)」と呼ばれる生薬でもあり、止血、健胃、腹痛、下痢、貧血、婦人病、鎮痛などに効果があるとされています。

また、よもぎの香り成分である「チネオール」は、交感神経を抑え、副交感神経を優位にし、リラックス効果があります。

この様に、様々な効能を持つヨモギが「もぐさ」の原料なのです!

お灸にはどんな効果があるの?

施灸により、

「身体に熱刺激を与えることによる効果」と「もぐさの原料であるヨモギ成分の皮膚からの吸収と香りを嗅ぐことによる効果」

が期待できます。

具体的には、次の様な作用があります。

■調整作用:熱刺激を与えることで、組織、器官の機能を調整する

・興奮作用:感覚が鈍くなっていたり、神経機能の低下や内臓機能の低下に対しての興奮作用

・鎮静作用:痛みやけいれんのような異常に機能が興奮している様な場合の鎮静作用

■誘導作用:血流量の調整

・血行障害に対して、患部に施灸することにより、血流を患部に誘導する

・充血や炎症に対しては、患部から離れた場所に施灸することで血液を誘導し、患部の血流量を調整する

■鎮痛作用:施灸により、生体に備わっている痛みを抑える機能が活性化される
■防衛作用・消炎作用:施灸により、白血球が増加し、治癒機能を促進させ、生体の防衛能力を高める
■免疫作用:施灸により、免疫機能が高まる

 

■転調作用:自律神経の失調やアレルギー体質などを改善し、身体を丈夫にする

こんなに効果が期待できるなんて、ちょっとびっくりじゃないですか!? w(゜o゜)w

お灸の種類

お灸の種類には、大きく分けて2種類あります。

1つは、皮膚に直接もぐさを置いて火をつける「直接灸」です。もう1つは、皮膚ともぐさの間にものを挿んだり、皮膚から離したところにお灸をあてたりする「間接灸」です。以下に、主なものを表記します。

直接灸 透熱灸 鍼灸師の施術では最も一般的な方法。もぐさを米粒大、半米粒大、糸状によって、直接皮膚の上に施灸する。
焦灼灸 イボやウオノメ、タコなどの治療に用いる方法。透熱灸と同じやり方で、イボやウオノメの上面に複数回施灸して、厚くなった病的組織を破壊し(焼き切る)、かさぶたが自然に治癒するのを待つ。
打膿灸 免疫機能を高める目的で行う方法。小指~母指頭大のもぐさを直接皮膚の上に施灸し、あえて火傷をつくり、その上に膏薬を貼って化膿をさせる。この方法は、刺激がとても強く、灸痕も大きく残るため、現在は、専門の治療所意外では用いられない。
間接灸 知熱灸 中指~母指頭大のもぐさを直接皮膚の上に置くが、温かく感じたところで除去する。
温灸 もぐさを患部から離して燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える方法。もぐさを和紙などで棒状に巻いた“棒灸”を使用したり、厚さ数mmの台座の上にもぐさを置いた“台座灸”などを用いる。
隔物灸 皮膚ともぐさの間に“効能が期待できる物質”を置いて施灸する方法。間に置く物質によって名前が付けられている。例)ニンニク灸、生姜灸、味噌灸、塩灸、びわの葉灸など
その他 電気でもぐさを加熱する電器灸や、器具に棒状に固めたもぐさを入れて皮膚にあてるお灸などがある

お灸でセルフケア

いままで特集記事の中で、ツボを刺激する方法として“簡易お灸“をおすすめしてきましたが、

やはり本物のお灸の方が効果は期待できます。

セルフケアで行いやすいのは、“温灸”です。

温灸にも色々なものがありますが、台座灸は気軽にできて、入手もしやすい(ドラッグストアなどで購入できます)のでおすすめです。

台座灸と言ってピンとこなくても、「せんねん灸」という商品名を聞けばわかる方も多いのではないでしょうか?

台座灸の使い方は、こちらをご参照下さい。→台座灸の正しい使い方(せんねん灸PDF)

台座灸には様々な種類があり、温熱のレベルがソフトなものハードなもの、アロマの香りをプラスしたもの、にんにくや生姜、みそなどの成分をプラスしたもの、また、煙のでない無煙タイプなど、お好みに応じて選ぶことができます。

初めての方は、温熱のソフトなものから始めることをおすすめします。

お灸をする時のポイント

お灸の刺激量の目安は「ほんのり温かくて気持よい」と感じるところまでです!

「お灸は熱い方が効く」と思っている方は少なくないと思います。特に、女性は痛みに対して男性よりも強い傾向があるので、多少熱いと思っても我慢してしまいがちです。

刺激は多いほど良いというわけではありません。やり過ぎると逆効果になる場合もありますのでご注意下さい。

一般的に、悪いところは熱さを感じにくくなっています。1壮で温かさを感じない時は、もう1壮同じ場所に施灸してみましょう。それでも、温かさを感じない場合、同じ場所へ施灸は3壮を限度にしましょう。

あとは、使用する台座灸の温熱レベルを強いものにしたり、毎日続けて行うなど日数を重ねましょう。

また、1日に施灸するのは、身体の様子を見ながら、多くても3、4ヶ所くらいにしておきましょう。

お灸の注意事項

■ゆったりした服装で行いましょう

■こんな時はお灸を避けましょう

・入浴、食事、飲酒の直前や直後

・発熱や感染症の症状がある

・皮膚に発疹や赤み、かゆみなどアレルギー症状ある

・糖尿病や、麻痺や感覚が鈍いなどの神経障害がある

・妊娠中で医師、鍼灸師から指示を受けていない場合

■お灸をしてはいけない場所

・顔面部

・化膿しやすい部位

・皮膚病の患部

・浅いところに太い血管がある部位(首、手首、脇の下など拍動を感じる様な場所)

■刺激量を多くし過ぎない

・刺激量が多すぎると、一時的に次の様な“灸あたり”の症状がでます:全身倦怠感、疲労感、脱力感、“灸あたり”が強い場合は、さらに、頭重、めまい、食欲不振、悪寒、発熱、吐き気など

■火の扱いと始末、換気には十分気をつけましょう

メルマガ読者からの質問にお答えします!

<質問>
「お灸、耐えられないほど熱いのはおかしいと思うのですが、どうでしょうか?」

<回答>
ご自身で行うセルフケアの場合と、鍼灸師による施術の場合とで考え方が変わってきます。

■セルフケアの場合■

セルフケアで行う場合は、「耐えられないほど熱い」というのは、避けた方がよいでしょう。

刺激量のことを、専門用語では「ドーゼ」といいますが、この「ドーゼ」は、その人の性別や年齢、体格、体質、感受性などで大きく変わってきます。

ドーゼは多いほど良いというわけではありません。多過ぎると逆効果になる場合もあります。

セルフケアで行う場合は、『ほんのり温かくて気持よい』と感じる刺激量を目安にすると効果的です。

■鍼灸師による施術の場合■

病症によっては強めの刺激をあえて与える場合もあります。

症状の激しい場合や慢性的で長引いている症状などでは、強い刺激を与える場合もあります。もちろん、患者さんにあったドーゼを考えて施術を行います。

十分な説明もなく、患者さんに「耐えられないほど熱い」思いをさせるのは施術者としては失格です。他の治療院を探した方がよいと思います。

また、十分な説明はあったけれど、思った以上に「耐え難い熱さだった」場合は、我慢せず、その場で施術者に伝えましょう。伝えることでドーゼが調整され、より効果が上る可能性があります。

ただし、

難病の治療などには、強い刺激が必要で、かなりの苦痛を伴う治療法もある様です。その場合は、治ることを信じて我慢して治療を続けるのか?精神的苦痛を回避して他の方法を探すのか?決めるのはあなたです。

いずれにしても、

「耐えられないほどの熱さ」を感じたならば、施術者にその旨を伝えて話し合い、納得した上で、治療を止めるなり、続けるなりするのがよいと思います。

いかがでしたか?

お灸に対するイメージ、少し変わりましたでしょうか?

お灸は、飛鳥時代に遣隋使によって日本に伝えられました。少しずつ形を変えながら、現代まで受け継がれてきたのは、言うまでもなく効果があるからです。

セルフケアで始めるもよし、鍼灸師によるお灸を受けてみることから始めるのもよし、また、自分に合ったツボを鍼灸師にアドバイスをもらいセルフケアを行うという手もあります。

食わず嫌いだった方は、この機会に一度試してみてはいかがでしょうか?

お灸の心地よさと効果は、知ってしまうと病みつきになるかもしれませんよ~(*^^*)


 

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