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あんまマッサージ指圧師・鍼灸師 ぱんだ先生
2014年9月11日公開

 

私事で恐縮ですが、離れて暮らしている家族に“大腸がん”が見つかりました。家族は43歳の男性です。青天の霹靂でした(((;゚Д゚)))))

日頃、病気の患者さんとはよく接していますが、年配の方が多く、40代の“がん患者”は初めてで、しかも肉親ということで、少々動揺していまいました。

私に何かできることはないか!? 離れていても出来ることはないか!?と考えて出た答えが、
「鍼灸師として勉強してきたことを活かし、改めて“大腸がん”というものを正しく理解し、情報を集めて伝えることで、納得のいく治療が選択できるようにバックアップすること」でした。

今回の家族に起こった出来事を通じて、みなさんにも“大腸がん”を知っていただくよい機会と思い特集させていただくことにしました。

みなさんにとって”がん”は身近な病気ですか?

現在、日本人の死亡原因の第1位は“がん”です。日本人の約半数が“がん”であり、日本人の約3分の1が“がん”で亡くなっています。

また、年齢別の死亡原因を見ると、男女とも30代から“がん”の占める割合が増加し始め、男性では60代、女性では50代でピークに達しています。

平成21年の調査における、男女別の“がん”の部位別死亡者数は下記の様になっています。

【男性】 【女性】
第1位 肺がん 第1位 大腸がん
第2位 胃がん 第2位 肺がん
第3位 大腸がん 第3位 胃がん

増え続けるがんの中でも、特に、“大腸がん”は増加の一途をたどっています。その罹患者数は、この20年間で、約4倍にも増加しているとの統計があり、さらに、今後も増加すると考えられ、来年(平成27年)の調査では、“大腸がん”罹患者数は、男女ともに最も多い“がん“になるとの予測がされています。言い方を変えれば、最も身近な”がん“であり、特に注意の必要な”がん“であるということになります。

大腸の基礎知識

大腸は、小腸に続く太さが6~9cmほどで、長さが約1.5~2mの消化管です。
盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸→肛門というルートをたどります。

(結腸の主な働き)小腸から送られてきた食物の水分などを吸収し、固形の便をつくる
(直腸の主な働き)便をためておく

”大腸がん“について…

ここからは、私の家族の症例をあげて“大腸がん”についてお話をしたいと思います。

(患者)43歳男性、169cm、62kg、既婚、子供あり
(職業)自営業、おもにデスクワークと自動車での外回り
(生活習慣)喫煙者、毎日飲酒、あまり歩かない、定期的な運動はなし、たまにゴルフ
(既往歴)特になし

直腸に腫瘍ができる「直腸がん」だった

<解説>

“大腸がん“とは、「結腸がん」と「直腸がん」を合わせた”がん“のことです。“大腸がん”のうち、約4割は「直腸がん」、2割強が「S状結腸がん」で、“大腸がん”の6割は肛門に近い部位にできます。これは、固形便がたまる部分であり、便との接触が長く刺激を受けるためと考えられます。また、女性の場合は、盲腸から横行結腸にできやすい傾向があります。こちらは、女性に便秘が多いことが関係していると言われています。

また、直腸の手術は、結腸の手術と比べて難易度が高くなります。直腸は肛門と接する大腸の最後の部分で、約15cmほどの短いところです。肛門近くにがんがある場合、肛門括約筋への影響が大きく、人工肛門になる可能性が高くなります。直腸近くの自律神経は、排尿、排便や性機能をコントロールする役割があるので、傷つくと排尿障害や排便障害、性機能障害などの深刻な影響が出る可能性があります。

※人工肛門とは:ストマ、ストーマとも言われます。手術により肛門括約筋まで切除して肛門の機能が失われた場合に取り付けられます。腹部(へその左斜め下辺り)に数cmの孔をあけ、結腸をつなげてつくります。そこに袋を装着し、袋に便がたまったらトイレに行って出すという手順になります。

がんが見つかるまでの経緯

健康診断は毎年受けていて、今まで特に問題なし。微熱が半年前から続いていた。かかりつけの病院を受診したが、原因は不明。膠原病の可能性を疑い検査を行ったが陰性。血便もあったが、担当医師に“痔”だろうと言われたので気にしていなかった。今までに便秘はしたことがない。最近になって、少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになり、お腹が張るのでおかしいと感じた。大腸内視鏡検査を行い、直腸に腫瘍が見つかった。その後、県内で1番の症例数を扱う病院を受診、PET-CT検査を行い診断が下った。

<解説>

一般的に、“大腸がん”の自覚症状には次のようなものがあります。
●血便・下血 ●便通異常・便秘・下痢 ●便が細くなる・残便感 ●腹痛・腹部の膨満感やしこり
●肛門痛 ●貧血 ●嘔吐etc.

<注目ポイント>

「血便があった場合、まずは“大腸がん”を疑う」というのは鉄則です。ただ、直腸は肛門から近く、出血した血液の色が鮮やかなため、“痔”と間違われることも多いそうです。微熱など他にも症状があったのですから、もう少し注意深くなっていれば、もっと早期に発見できたのではないかと悔やまれます。

がんの進行度は「ステージⅢa」か「Ⅲb」との診断

離れた臓器への転移はないが、リンパ節には転移している「ステージⅢa」か「Ⅲb」だろうとの診断だった。

<解説>

大腸がんの進行の度合いを示したものが「ステージ」です。

ステージ 症状 5年生存率
0期 がんが粘膜内に留まっている 94.30%
Ⅰ期 がんが大腸の壁(筋層)に留まっている 90.60%
Ⅱ期 がんが筋層を越えて周囲に広がっているが、リンパ節への転移はない 81.20%
Ⅲ期 Ⅲa リンパ節への転移が3個以下 71.40%
Ⅲb リンパ節への転移が4個以上 56.00%
Ⅳ期 腹膜、肝臓、肺など離れた臓器に転移している 13.20%

治療方法は「ロボット支援手術」を選択

治療方法はステージによって変わってきます。

ステージ 治療
0期、Ⅰ期(軽度浸潤) 内視鏡治療
Ⅰ期(深部浸潤)、Ⅱ期、Ⅲ期、
Ⅳ期(切除可能な場合)
がんの進行度や位置により開腹手術もしくは腹腔鏡手術が選択され、手術後は状態によっては抗がん剤治療や放射線治療を行う
Ⅳ期(切除不可能な場合) 抗がん剤治療、放射線治療を行う

<解説>

ロボット支援手術とは、術者の手の動きを忠実に再現した手術支援ロボット「ダヴィンチ」が執刀医に代わって手術を行うものです。2001年にアメリカで前立腺がんの手術に初めて用いられ、日本では2006年位から導入されました。2011年には、初めて大腸がんの手術に用いられ、現在は全国40施設に45台が設置されています。

ただし、前立腺がんでは保険治療として認められていますが、大腸がんではまだ認められていないため、自費診療になり、医療機関によって異なりますが、その手術費用は100万円以上になります。

(特徴)高解像度、高倍率の3D画像を見ながら手術を行うため、「2mmの血管が縫える」と言われるほどの細かい作業が可能。手ぶれのない正確な術技が可能。難易度の高い直腸がんに向いている。反対に、手術時間が長い、視野が狭い、触感がない、執刀医は一定期間のトレーニングが必要、手術費用が高額であるなどのデメリットもある。

<注目ポイント>

治療法方を選択する際に、担当医師が県内で1番という“大腸がん”の権威であったため、開腹手術の場合、2~3ヶ月待ちになってしまうが、ロボット支援手術の場合は、空きがあり、2週間後に手術できるということだった。手術費用がかなりの高額になってしまうため、悩んだものの、ロボット支援手術を選択した。

ちなみに、2~3ヶ月待つ場合は、がんの進行を抑えるため、手術前に抗がん剤や放射線の治療も行わなければならない可能性があった。

手術結果

手術時間約7時間。腫瘍の大きさは約5cm大、およそ30cmの大腸を摘出した。

【注意】摘出した大腸の写真
こちらの写真はパンダ先生の承認の元に公開しております。閲覧頂く上で刺激的な写真となっている為、こちらのパスワード「20140911」を入力しないと閲覧することはできません。閲覧希望の方はご注意下さい。尚、本ページ以外の画像への直接リンク等は一切禁止とさせて頂きます。

 

肛門は温存できた。周辺の自律神経も無事で、排尿障害や排便障害、性機能障害は大丈夫だろうとのことだった。

手術から6日後に、摘出した組織の病理検査の結果報告と、今後の治療方針の説明があった。リンパ節への転移があるだろうとの予測だったが、摘出したリンパ節からはがんが検出されなかった。また、がんの浸潤は直腸の筋層でとどまっていたとのことで、当初ステージⅢと言われていたが、結果はステージⅠだった。抗がん剤治療、放射線治療の必要はないとの診断。担当医も思いがけなく良い結果だったと話していた。

今後、定期的に通院、検査、経過観察を行い、5年後までに再発がなければ、そこで完治になるとのこと。

<注目ポイント>

退院後の食事については、「食べる量に注意して、偏った食べ方をしなければ、何を食べてもよい」、飲酒は、「禁止ではないが、量は控えて、いずれは飲まない方向へ持っていくのが理想」、喫煙は「禁止。良いことはひとつもないです。せっかく手術が良い結果だったのだからムダにしないで下さい」とのアドバイスがあった。

結果として、入院手術諸費用で2百数十万円かかったが、本人が「手術まで2~3ヶ月待つのは精神的にもたなかったかもしれない。ロボット支援手術を選んで良かった」と、術後の結果が出て安心した時に話していた。

退院後の経過

手術から7日後に退院。

退院より2日後に激しい腹痛で病院を受診し、点滴を受けた。調べたが異常なし。

退院より9日後、腸閉塞(イレウス)で再入院。腸を安静に保つため5日間の絶食。6日目より食事解禁。まだお通じはなし。今日現在、退院日未定。

<解説>

手術によるキズの周囲に起こった炎症によって、隣り合う腸や他の臓器とくっついたり、ねじれたりして、腸管が狭くなることがあります。腸閉塞は、こうした腸管の癒着により、腸の内容物の流れが悪くなって、便やガスが出なくなる状態のことで、お腹が張ったり、腹痛や嘔吐などの症状を引き起こします。術後すぐに現われる場合と数年経過してから現われる場合があります。一度に食べ過ぎたり、繊維質の摂り過ぎや便秘などが原因になります。症状が現われた時には、食事や水の制限をすることで回復しますが、ひどい場合には手術が必要になることもあります。

<注目ポイント>

手術の結果が思いがけず良かったこともあり、手術から1ヵ月後のあたりに、快気祝いの飲み会を数件、入れていたそうです。腸閉塞を起こさなければ、その数件の飲み会は行われていたので、もっと痛い思いをした可能性があります。また、退院後すぐに、少量ながらステーキも食べたとのことでした。手術結果が良かったといっても、大腸がんが出来た体質や生活習慣を変えていかなければ再発の可能性は高いと考え、これからの生活を改めて見直すという意味では、早い段階で痛い思いを経験したことは、長い目で見ればかえって良かったのではないかと思われます。

手術でがんを摘出することがゴールではなく、そこからが、これから健康で生きるためのスタートだということを忘れてはいけないという教訓です!!

あなたの“大腸がん“危険度チェック

次の項目であてはまるものをチェックして下さい。該当項目が多いほど、リスクが高くなります。

  • 肉類が好きで、脂肪分を多くとる
  • 野菜や果物は好まない
  • 食物繊維は不足気味
  • 肥満タイプで内臓脂肪が多い
  • お酒は毎日1合以上飲んでいる
  • 喫煙者である
  • 便秘症である
  • 運動はほとんどしていない
  • 40歳以上である
  • 家族に大腸がんになった人がいる

また、

国立がん研究センターは、40~69歳の男性が今後10年間に大腸がんを発症する確立を予測するための計算式を開発し、HPにて“リスクチェック”ができます。興味のある方は→こちらからどうぞ

一鍼灸師として、家族として考えたこと…

がんに対する治療や考え方はいろいろあります。職業柄、そのような書籍を読んだり、医師の講演なども度々聞いています。特に、抗がん剤治療や放射線治療に対して異議を唱えるものが多いと感じています。

私は東洋医学的な考えに共感し、それに基づいた治療を行っていますが、決して西洋医学を否定しているわけではありません。今回、家族ががんになり、それに対してどのような治療をするのがベストなのかということは、結局、確信が持てませんでした。腫瘍が大きくなれば大腸を塞いでしまうので、それを摘出するのは必要だと思います。けれど、抗がん剤治療や放射線治療に関しては、健康な細胞も破壊してしまうということは確かなので、どう考えるべきかとても難しいと思いました。今までの見聞きした情報の中には、手術も抗がん剤や放射線治療も一切行わずにがんを治したという方がいらっしゃいました。でも、そういう方達は知識も豊富で、生半可ではない信念や覚悟の持ち主なのだと思います。一般的な患者は、専門の知識もなく医師が提示した治療方法を断るということはできないと思います。私の家族は、とても運が良く、抗がん剤治療や放射線治療は受けずに済みました。本当に安心しました。

私が今回、がん治療にあたり、家族に強く希望したことが1つだけあります。手術を受けるまでの間に鍼灸治療を受けることです。私が治療することは出来ませんでしたが、近くに同じ勉強会に通うベテランの先生の治療院があったので、そこに通うように伝えました。今まで鍼灸は受けたことがなかったので、嫌がるかもしれないと思っていましたが、本人も手術までの間をどう過ごしたらよいか不安に思っていた様で、『自分でできることがあると少しは気が楽になる』と、手術まで毎日通院していました。この治療は、経絡治療という、全身を調整するもので、手術までに少しでも自然治癒力を高め、もし、抗がん剤治療や放射線治療を受けるにしても、生命力が高められればダメージが少ないと思ったからです。手術結果が、当初より思いがけず良い結果になったことは、鍼灸治療が与えた影響もあると私は思っています。

今回の家族の経験は、私にとっても色々な事を考えるきっかけとなりました。まだまだ勉強しなければならない事がたくさんあると痛感しました。

日々精進して行こうと思います。

私事で失礼いたしましたm(_ _)m


 

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