数値ひとつで“病人”が“健康人”に!? ~検査数値に翻弄されないで!~

あんまマッサージ指圧師・鍼灸師 ぱんだ先生
2014年5月22日公開

 

この時期、学校や職場で健康診断を行うところが多いようですが、今ごろ検査結果とにらめっこなんて方もいるのではないでしょうか?

そんな「健康診断」の検査基準値が、大きく変わる可能性があることをご存知ですか?

検査基準値はどう変わる?

つい先日、4月4日に日本人間ドック学会などが作る専門家委員会は、「健康」とされる基準について、現在の正常値の範囲を、大幅に緩めるべきだとする調査結果を発表しました。以下に、その数値の一部をご紹介します。

従来値 新基準
(男女共通) 男性 女性
収縮期血圧(mmHg) 130未満 88~147
拡張期血圧(mmHg) 85未満 51~94
肥満度 BMI 25未満 18.5~27.7 16.8~26.1
体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
γ-GTP(U/I) 0~50 12~84 8~25
中性脂肪 TG(mg/dl) 30~149 39~198 32~134
総コレステロール 140~199 (30~80歳) (30~44歳)145~238
(mg/dl) 151~254 (45~64歳)163~273
(65~80歳)175~280
LDLコレステロール 60~119 (30~80歳) (30~44歳)61~152
(mg/dl) 72~178 (45~64歳)73~183
(65~80歳)84~190
HbA1c 5.5以下 (30~80歳) (30~44歳)4.83~5.83
(%) 4.97~6.03 (45~64歳)4.96~6.03
(65~80歳)5.11~6.20

こんなに変わるなんて驚きですよね!?

ちなみに、これは中間報告で、6月に新基準を正式に決定し、来年4月から運用する予定とのことです。

健康人が増える!?

現在の基準と比較すると「健康」と診断される範囲が広がる傾向にあるので、もし、実際に健康診断の基準に採用されれば、これまでは「病人」扱いされてきた人が、「健康人」になるケースが続出するということです。

今までの数値はなんだったんだろう…なんだかおかしな話ですよね(・・;)

おっ、新基準だと、ぱんだ先生のBMI値も正常値です…(^ ^;)

【注意!】

健康診断や人間ドックに用いる基準値は、同学会が公表している数値を使う施設もあれば、各専門学会が定めた診断基準を使用する施設もあり、現状では統一されていません。検診を受けた施設によって判定が変わってくるということですね。

また、今回の基準はあくまで、「現在、健康な人」に対してのもので、基礎疾患や持病を持つ人には当てはまらないのでご注意下さい。

そもそも、「健康」ってどんな状態?

現代西洋医学では、「健康とは心身がある一定の状態に保たれていること」と考え、そこから外れたら「病気」であるという概念が根底にあります。つまり、検査数値が正常値で一定であることが「健康」であり、外れたら「病気」ということになります。

また、現代西洋医学では、「人体は様々な器官の集合体」であると考えるため、病気がある部分を細分化して探り、病巣を取り除くという治療法のため、検査により、数値が異常になっている部分に病気があると考え、診断や治療につなげています。

「健康診断」や「人間ドック」などの検診では、脈拍や血圧、血糖値、心電図など、数値化や映像化したデータをとり、その数値で「健康」かどうかを判定します。検査の結果、数値に異常が見つかった場合は、数値を正常値に戻すための、投薬などの治療が行われます。

東洋医学的にみると…

東洋医学では、「健康とは心身が環境に応じて、絶えず変化しながらバランスを取っている状態」であり、何らかの理由で変化が停滞し、バランスが崩れると、「病気」が生じると考えます。

※詳しくは、「特集vol.8 東洋医学は“調和”の医学」の中の、「東洋医学における“健康”の概念とは」をご覧下さい。

また、東洋医学では「人体は全身が関連するひとつの有機体」であると考えるため、病巣に注目するのではなく、病巣を含む全身の状態に注目します。四診(望診、聞診、問診、切診)を駆使して観察することで、バランスが崩れている部分を探り出し、治療方針を打ちたてます。また、自覚症状に重点が置かれることも東洋医学の特徴です。

【チェック!】四診(ししん)てなに?
  • 1・望診(ぼうしん):顔色や舌の状態、体格など、目で見える身体の状態を観察します
  • 2・聞診(ぶんしん):声や話し方、呼吸や咳、口臭や体臭など、身体から出る音と臭いの状態を観察します
  • 3・問診(もんしん):患者さんの様子を観察しながら、痛みや発熱、飲食、睡眠、排泄状態などをたずねます
  • 4・切診(せっしん):患者さんの身体に触れて、患部や皮膚、脈、お腹の状態などを観察します

1から4の順に行い、集めた情報を総合的に判断して診断、治療を行います。

人間ドックと東洋医学

人間ドックと言えば、みなさんご存知の通り、現代西洋医学的な検診ですよね。

数値で判断するがゆえに、体調が悪いのに、検査では数値に異常がないという場合や、数値では表すことの出来ない異常などは、現代西洋医学では「病気」とみなされず、不調を訴えても治療が行われないことも少なくありません。

また、人間ドックや健康診断では、「病気」を早期に発見することはできても、「病気」になる前に見つけることはできません。

そこで、近年、東洋医学の「未病」という概念が注目され、人間ドックに「四診」を取り入れる医療機関が増えているのです!

「知らぬが仏」もあり!

現代は、「病気」の早期発見のために、自治体からのお知らせや、テレビCMなどでも、いろいろな検診を勧めています。

現代西洋医学では、健康診断や人間ドックの結果、基準値からはずれると、自覚症状がなくても「異常」=「病気」という判定結果になり「病人」という扱いになります。

知ってしまうと気になるものです、人間だもの。「悪い数値」を見て落ち込み、「病気」なんだと心配して思い悩んでいると、そのうちに本当に体調が悪くなっていく。まさに、「病は気から」という状態です。

東洋医学には「心と体はお互いに強く影響し合う」と考える「心身一如」という概念があります。気持ちの変調は、身体にも影響を及ぼすということです。

「検診を受けない」、「数値を見ない」という選択肢もあります!

基準値は目安です

今回の検査値の新基準報告により、数値に翻弄される人が多くなることでしょう。

洋服にS・M・Lというサイズ分類があります。Sでは小さいけどMだと大きい、Lだと幅は調度いいけど丈は長すぎる、また、靴のサイズでも、左右の足の大きさが違ったり、長さは調度いいけど幅がきついなど、いろいろな人がいるものです。流通の都合上、既成のサイズを基準にしていますが、人間ひとりひとりに個体差があり、持っている身体が違います。

検査基準値も、全く同じです。便宜上、設けられていますが、基礎疾患や持病などを持っている場合は、基準値内でも不調を訴える人もいますし、基準値にはまらなくても、なんの症状もなく元気にすごしている人もたくさんいます。

その人にとっての「健康な状態」というのは、人それぞれ違って当たり前なのです。

検査基準値はあくまで目安であるということを認識して、決して数値に振り回されることのない様にしたいものです。

数値を気にするよりも、自分自身の身体の状態をつねに気にかけ、身体が発する不調のシグナルを見逃さない様にすることの方が、どんな検査よりもはるかに有意義で効果的です。

今後、特集の中で「身体が発する不調のシグナル」に気づくための、自分でできる「四診」の方法などをご紹介していきたいと思います。

 

※本コラムは筆者の独断に基づき執筆されたものです。内容を保証したり、これらの情報によって生じたいかなる損害についても当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。


 

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