快眠のすゝめ~眠る門には福来る~

あんまマッサージ指圧師・鍼灸師 ぱんだ先生
2014年4月10日公開

 

日増しに温かくなり、桜も咲き、春爛漫です!「春眠暁を覚えず」と言う様に、春の温かさは眠りを誘う季節とされます。俳句では「春眠」は春の季語となるほど、春と眠りは強く結び付けられています。

私たちにとって「食べる(食事)、出す(排泄)、眠る(睡眠)」の3つは、生命活動を営む上で欠かせない機能です。しかし、「食事」や「排泄」に比べて「睡眠」は無頓着になりがちです。この機会に自分の「睡眠」を見直してみませんか?今回は、身近だけど以外と知らない「睡眠」について特集します!

5人に1人は「睡眠」に不安

なんと、日本人の5人に1人は「睡眠」になんらかの不安を抱えていると言われています。
3月24日、厚生労働省は心身の健康と密接に関わる眠りの質を向上させようと、「睡眠指針」を11年ぶりに改定しました。その中で、「睡眠不足は、生活習慣病や精神疾患に罹患しやすくなる」ことが報告されています。

少し前までは、「たとえ眠れないことがあっても、命に危険があるほどの問題ではない」と言う考え方が主流でした。

しかし、睡眠と生活習慣病(脳血管疾患・心疾患・糖尿病・がん)が密接に関係していることが明らかになり、「眠らないと、生活習慣病のリスクが高まり命の危険がある」ということが認識される様になったのです。

「睡眠」の基礎知識

なぜ眠くなるの?

それは、脳が「休みなさい」という指令を出すからです。脳が眠気を起こすのは、「脳を休ませる」ことと、「身体を休ませる」という2つの目的のためです。脳と身体のどちらかが疲れたままでは、私たちは健康を保つことも、十分な活動をすることもできなくなるのです。ただ横になって寝ればいいというわけではありません。

朝起きた時に全く疲れがとれていない、身体も頭も重くやる気がでない、という様な経験ありませんか?これは、脳も身体も十分に休めていないという証拠なのです。ぐっすりと眠った朝は、心も身体もすっきりとした気分になれます。私たちが経験的に感じているこの感覚は、脳が働き過ぎを防ぐために「睡眠」という機能で、自ら休息をとっているおかげなのです。

睡眠のしくみ

「睡眠」には2つの種類があります。
1つは、夢を見ている「レム睡眠」と、ほとんど夢を見ない「ノンレム睡眠」です。この2つがセットになり、約90分周期で4~6回繰り返されて、目覚めに至ります。つまり、睡眠のサイクルは“90分”なのです。

【レム睡眠】
  • 役割・・・心のメンテナンス、心の病を予防(記憶の処理や心の状態の整理を行う)
  • 不足すると・・・記憶や心の整理が追いつかず、情緒が不安定になりやすくなる
  • 睡眠の前半(寝入り)に短く、睡眠の後半(朝方)になると長くなる
【ノンレム睡眠】
  • 役割・・・身体や脳の休息、身体の成長や修復
  • 不足すると・・・身体の機能回復が不十分となり疲労感が残る
  • 「成長ホルモン」により細胞の新陳代謝を高め、免疫力を増強する。「成長ホルモン」は寝てから3時間の間に多く出る

あなたは「快眠」できていますか?

快眠とは、「寝つきがよく、途中で目覚めることなく、朝すっきりと目覚められること」です。

あなたの「快眠度」診断・・・○△×どれに該当しますか?

① 寝つきは?
良いほう
あっという間に落ちてしまう
× 2時間以上かかる

② 朝までぐっすり眠れる?
一度も起きずにぐっすり眠れる
目覚めてもすぐにまた眠れる
× いつも途中で目が覚める

③ 起きたい時間より早く起きる事がある?
ない
少し早く起きることがある
× かなり早く起きることがある

④ 目覚めの気分は?
すっきりしている
まあまあ
× 悪い

⑤睡眠時間は?
足りている
少し足りない
× 全く足りない

⑥ 自分の睡眠に
満足している
少し不満
× かなり不満

⑦ 日中の活動は?
充実している
まあまあ
× やる気が出なくてだるい

⑧ 日中、眠気がある?
ない
少しある
× かなりある

得点の計算:○・・・2点、△・・1点、×・・・0点
あなたの合計得点は何点でしたか?

  • 16点・・・・・・【快眠◎】
    理想的な睡眠が取れています。今の状態をキープしましょう!
  • 15~8点・・・【適眠○】
    平均的な快眠度です。少し意識することで、いっそう高い睡眠の質を得られます!
  • 7~1点・・・・【弱眠△】
    睡眠の質が低下気味です。原因を探り改善しましょう!
  • 0点・・・・・・・【貧眠×】
    睡眠の質が非常に低い状態です。直ちに原因を探り改善が必要!場合によっては医師に相談を。

「自分は眠れている」と思っていたあなた、結果はいかがでしたでしょうか?
眠りにとって重要なのは、時間ではなく“質”なのです。

ご存知ですか?「快眠」の効果!!

しっかり眠ると、こんなに良い事がたくさんあるのです!

  • 集中力UP&物忘れ予防
    →脳が休養により機能を向上させる
  • 免疫力UP
    →免疫ホルモンであるコルチゾールが増加
  • 対ストレス強化
    →精神を安定させる神経伝達物質セロトニンの分泌促進
  • 太りにくくなる
    →自律神経の働きが亢進し、新陳代謝UP
  • 美容効果UP
    →細胞を修復する成長ホルモン、活性酸素を退治するメラトニン、肌に潤いを与えるプロラクチンの分泌が促進

目指せ「快眠」今日からできる対策講座

気負わずに、出来る事から試してみましょう!

  • 朝日を浴びる
    →25時間周期の体内時計を24時間周期の地球の自転(1日)に合わせて調整できる
  • 起床時間を一定にする
    →体内時計のリズムを整えられる
  • 寝る前に携帯、スマホを触らない
    →ブルーライトは睡眠のリズムを崩す
  • 食事は就寝の3時間前、運動は2時間前、入浴は1時間前に済ませる
    →スムーズに眠りへ導くことができる
  • 眠い時には15分以内の仮眠を取る
    →疲労回復に絶大な効果があり、作業効率もUPする
  • 90分サイクルの睡眠リズムに合わせて起きる
    →90分ごとにおとずれる、眠りの浅いレム睡眠時は目覚めが良い
  • 適正な睡眠時間は6時間半から7時間半
    →身体に負担がかからない睡眠時間であることが実験により証明
  • 睡眠のゴールデンタイムは午後11時から午前2時
    →身体を修復する成長ホルモンの分泌量が活発になる

「快眠」への近道はこちら!

あなたの「睡眠」をもう少し探ってみましょう!

「快眠」妨げる原因を探ります・・・該当項目をチェックして下さい。

【Aタイプ】
  • 寝つきが悪い
  • 眠りにつく時に色々考えてしまう
  • 夜中に目を覚ます
  • いやな夢をよく見る
  • 日中、全身に熱感がある
  • 物忘れが激しい

【Bタイプ】
  • 布団に入っても手足が冷える
  • 起きた時に肩や腰の痛みがある
  • あまり寝返りをしない
  • 眼精疲労がある
  • 疲れやすい
  • 更年期を向かえている

【Cタイプ】
  • 寝起きの時間がまちまちだ
  • 食事が不規則で外食が多い
  • 夕食は夜9時以降で量も多い
  • 日中、ほとんど身体を動かさない
  • 眠る前に必ずお酒を飲む
  • コーヒーやたばこが欠かせない

【Dタイプ】
  • 眠る時に枕が気になる
  • 電気をつけっぱなしで眠る
  • 寝室のインテリアや寝具の色がバラバラ
  • 起きた時に首や肩が痛い
  • 朝まで冷暖房をつけて眠る
  • 遮光カーテンを閉めて寝ている

チェックが多かったのはどのタイプですか?

  • 【Aタイプ】・・・「心の不調」が原因
    → ストレスなどによる精神的な緊張や不安感などの影響
  • 【Bタイプ】・・・「身体の不調」が原因
    → 肩こり、腰痛、冷え性、更年期障害などの影響
  • 【Cタイプ】・・・「生活習慣」が原因
    → 偏った食生活、コーヒー・たばこ・お酒などの過剰摂取の影響
  • 【Dタイプ】・・・「睡眠環境」が原因
    → 心地よさを感じさせない寝室、寝具、室温、湿度、音、明りなどの影響

結果はいかがでしたか? 以下に、タイプ別の対策をご用意しました。

タイプ別「快眠」対策

【Aタイプ】心の不調が原因
就寝前に身体をほぐすことで心の緊張もほぐれます。自律神経のバランスを整えましょう。

  • ・入浴:ぬるめのお湯で湯船にゆったり浸かりましょう。リラクゼーション効果は絶大です。
  • ・アロマテラピー:香りは本能を司る大脳辺縁系に直行するため、瞬時にリラックスすることができます。特に、ラベンダーの香りは脳を休ませる働きがあることが知られています。天然成分100%のものを使用しましょう。
  • ・ミントガムを噛む:ストレス解消法として有効。自律神経のバランスを保つことができる。
【Bタイプ】身体の不調が原因
自律神経の乱れや血行不良による体温調整の異常を改善しましょう。

  • ・入浴:【Aタイプ】を参照
  • ・仙骨を温める:冷えで眠れない場合は、腹巻やカイロ、お灸などで仙骨を温めましょう。
  • ・眼を温める:眼精疲労の強い時はホットタオルなどで温めましょう。眼の周囲のマッサージも効果的です。
  • ・枕の高さを見直す:朝起きた時に肩や首に痛みや凝りが出ている様な場合は要チェックです。
    枕の高さは首の骨のカーブ(頚椎弧)が目安になります。平均的な深さは女性3cm弱、男性4cm前後です。頭を置いた瞬間に気持いいと感じるもの、していることを忘れるものを選びましょう。バスタオルを重ねて、高さを微調整するのもおすすめです。自分ではよく分からないという方は、専門店へ相談の上、いろいろ試して選ぶことをおすすめします。
【Cタイプ】生活習慣が原因
日中の過ごし方は睡眠の質に現われます。ちょっとした日常の心がけで眠りを改善できます。

  • ・コーヒー・たばこ:覚醒作用があるため睡眠の妨げになります。理想は、コーヒーは午前中だけ、たばこは夕食以降は控えましょう。
  • ・お酒:飲んだ直後は眠くなるので「寝酒」の習慣を持つ人は多いと思いますが、アルコールは摂取してから3時間位経つとアセトアルデヒドという有害物質に変わります。アセトアルデヒドは交感神経を刺激し睡眠を妨げます。そのため、お酒を飲むと、途中で目が覚めてしまうのです。お酒は睡眠の質を低下させます。飲む場合は、眠る3時間前までに飲み終えましょう。
  • ・食事:夕食は眠る2時間前までに済ませる。ビタミンB群(玄米、小麦、大豆、緑黄色野菜、海藻、レバー)を摂取することで「快眠」ホルモンであるメラトニンの生成、吸収を促し、睡眠の質を向上することができます。
【Dタイプ】睡眠環境が原因
安心できる寝室環境を作りましょう。起床時に首や肩の違和感を感じる場合は枕、腰痛の場合は敷き寝具、汗が気になる場合はパジャマを見直して見ましょう。

  • ・枕の高さを見直す:【Bタイプ】を参照
  • ・敷き寝具:やわらか過ぎるとお尻が沈んでV字となり腰に負担がかかり寝返りがしにくくなります。硬すぎると布団に接している部分の血流が悪くなり、痛みを感じてしまいます。立っている時と同じ自然な姿勢を保てる様、やや硬めが良いでしょう。
  • ・寝室環境:まず第1に暗くすること。快眠ホルモン・メラトニンの分泌を促進するには暗くする必要があります。温度は、夏27~29℃位、冬18~20℃位、湿度50~60%。何かの音が気になって眠れない場合には、ラジオや音楽を流して嫌な音から注意をそらします。ただし、タイマーなどで90分程度で切れる様にしましょう。寝室の色は、脳波などの実験によりブルー系が良いと言われています。自分が落ち着ける好みの色にする場合は、淡い色にしましょう。

【やってはいけない!】睡眠と生活習慣病のリスク

電気をつけっぱなしで眠る → がんのリスク

睡眠中に分泌されるメラトニンが光によって抑制されてしまうと、がんの発症率が高まってしまうことが明らかになっています。

睡眠不足 → 糖尿病のリスク

睡眠時間を削ると、血圧や血糖値を高めるコルチゾールが急激に増加し、インシュリンを低下させ血糖値が上昇することが明らかになっています。インシュリンが減ると、メラトニンも減ってしまい、睡眠の質が悪くなります。
また、睡眠不足はインシュリンの働きを補助するレプチンという満腹中枢刺激ホルモンを減少させるため、糖尿病の悪化につながります。

夜遅い睡眠前の食事 → 脳血管疾患のリスク

質のよい睡眠をとるには、深部体温がしっかり下がることが大切です。ところが、夜遅くに食事を取ると、内臓が働き温度が上がってしまい、その結果、深い睡眠が得られなくなってしまいます。また、夜遅い食事は消化に悪いだけでなく、中性脂肪を増やし、血液の循環にも影響を及ぼします。

起床時の血圧上昇 → 心疾患のリスク

血圧は、早朝に心臓の収縮力が高まり、急激な上昇が起こります。この時、血液の粘ばり気が強く、血管が詰まったり、破裂しやすくなってしまいます。朝の8~10時までは、心筋梗塞や脳卒中の発症が最も多いことが知られています。起床したらまず、温かい飲み物を飲むと、内臓を直接温めて深部体温をあげることができます。

「睡眠」を東洋医学的にみると

睡眠は日中の活動と表裏一体です。東洋医学では、この関係を「陰」と「陽」のバランスとして捉えています。
身体の状態は昼と夜で変化していて、昼は活動的に、夜は昼の活動の修復をするために安静な状態になるような仕組みになっています。
活動が過剰になると、消耗したものを睡眠によって回復させるために眠くなります。これが本来の睡眠の役割ですから、ここちよい睡眠を得るためには、まず十分活動することが必要です。日中の活動が少ないと、睡眠の必要性もなくなり、眠れないと感じてしまいます。「陰」と「陽」は互いに制御しあいバランスを取っているのです。

「快眠」へ導くツボ

眠りにつく前に、ツボをやさしく刺激してみましょう!
指で押す、ドライヤーお灸、市販の台座灸、爪楊枝鍼(爪楊枝10~20本位を輪ゴムで束ねたものでトントントンと軽くツボを叩く)、簡易湯たんぽ(お湯を入れたペットボトルを靴下に入れたもの)などを使って刺激しましょう。
【百会】頭のてっぺんのほぼ中央。左右の耳の最も高いところからの延長線と鼻からの延長線の交点
【天柱】首の後ろにある太い筋肉が頭蓋骨ににつく部分の外側
【腎兪】へその高さで背骨の正中線から指2本(約4cm)外側
【鳩尾】みぞおちのところ
【失眠】かかとの裏の中央:ゴルフボールやワインコルクなどをあてて踏み込んでもよい。お灸は効果倍増

「快眠」へ導くツボ

新年度が始まり、新しい環境の中で過ごしている方も多いと思います。環境が変われば、生活のリズムにも変化が生じ、慣れない環境と変化した生活リズムは「睡眠」にも影響を与えます。
人生の約3分の1は「睡眠」が占めていると言われています。その時間を良質にすることで、心身ともに健康で、快適な生活を送ることができるのです。

これまであまり意識していなかった「睡眠」に対して、少しだけ意識を傾けてみてはいかがでしょうか。
毎日の「睡眠」が「快眠」に変われば、人生の3分の1だけではなく、人生そのものが変化して行くと言っても過言ではないでしょう!
あなたも今日から「快眠」を目指してみませんか?

 

 

※本コラムは筆者の独断に基づき執筆されたものです。内容を保証したり、これらの情報によって生じたいかなる損害についても当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。


 

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