鍼灸患者(男性/50代)の体験談
2013年7月20日公開
「鍼で花粉症の症状が治まった。」というと、殆どの人が「そんなバカな・・・」と言う。もしくは、口に出して言わないまでも、疑わしい目つきを投げてくる。ただそれも無理からぬことだと思う。というのも、斯く言う本人が、「ダメ元で治療を受けてみよう」と半信半疑だったのだから。
世に言う「花粉症の特効薬」には何度も裏切られてきたトラウマがあって、当時(6年前)は薬も治療も何もしていなかったのである。親指の付け根の痛みを治療するために治療院を訪れた際、「鍼は花粉症にも効果がある」と聞いて、「ダメ元」の開き直り気分半分、もしかしてと「藁にもすがる」期待感半分で治療を開始したというのが実情である。因みに、親指の付け根通は、通院2回で簡単に治癒した。
ここで、私の花粉症の症状について説明しておくことにする。 まず、アレルギー源は、スギ、ヒノキの二つで、症状はかなり重症だった。時期別の症状は以下の通り。
11月~12月 | 花粉症初期症状開始。鼻がムズ痒く、軽いくしゃみが出始める。 |
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1月中・下旬 | 花粉症第二期症状。口の周りに髭剃り負けのような傷が増えてくる。 |
「エイズじゃないか?」と言われたこともあるほど目立つ状態。 | |
2月~ | 花粉症第三期症状。声が掠れてくるが、風邪のヒリヒリ感はない。 |
2月中~ | 花粉症本番期到来。春一番が吹くとスギ花粉シーズンの到来である。 |
3月中旬 |
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3月中・下旬 | ヒノキの飛散開始。スギとヒノキの症状の違いは以下の二点。
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3月下旬~GW | 残留スギとヒノキ スギの飛散は3月一杯で終わるが、しばらくは「残留花粉」に悩まされる。絨毯の目、空調のダクト、カークーラーのエバポレーターなどに残った花粉によって症状が引き起こされる。ヒノキは、多い年には5月のGW過ぎまで飛ぶことがある。 |
治療開始(07年12月)から最初の花粉シーズン。鼻詰まりの頻度が減少したが、 今年は花粉量が少ないのだろうと思っていた。4月上旬まで「残留花粉」に悩まされたと記憶している。
治療開始二シーズン目。顕著な変化は、鼻詰まりがゼロになったことである。これは、 最も感動的、かつ印象的な出来事であったためはっきり覚えている。
花粉症患者にとって、最も苦しく、鬱陶しいのが「鼻詰まり」ではなかろうか。鼻で呼吸ができないことがいかに不便であり、危険ですらあるかというのは経験者にし かわからない。医者は、無邪気に「花粉対策にはうがいが一番」などと言うが、鼻詰まりのままうがいをすると、冗談ではなく「窒息死」しかねないのである。
ともかく、長年苦しめられた鼻詰まりから解放された喜びは何物にも代え難いもので あった。
それでも、またぶり返すかもしれない不安から治療継続三シーズン目。2月に入って も声が掠れない。そしてそのまま花粉シーズンを終えた。
治療開始6シーズン目の今年(2013年)、過去の諸症状の現状をまとめてみよう。
- 目の痒さ。シーズン中2~3日、とても痒い日があり、完治したとは言い切れない。リンスキンの使用量が過去の3箱から半箱に。治癒率は83%
- 鼻水。劇的に減少。ソフトティッシュ使用量は1/20。治癒率は95%。
- 鼻詰まり。いまだ一度もなし。治癒率100%。
- くしゃみ。5連発はない。3連発は時々あり、くしゃみ量から推定の治癒率は80%。
- 擦か症・皮膚の干からび。全くなし。過去の症状を知る知人はみな一様に驚きの声を上げる。治癒率100%。
- ヒノキの症状。なし。治癒率100%。
以上である。
重症花粉症患者であった私の治癒率を見ていただければ、効き目のほどはご理解いただけると思う。一般の花粉症患者の方はもちろん、花粉症に悩むアスリートにとっては、投薬とは違ってドーピングの危険性が全くない鍼は、願ってもない治療法と言えるのではなかろうか。
しかしながら、「鍼治療」そのものに対して不安と恐怖心を抱いている人が多いのも事実である。ある有名な野球選手が引退の記者会見において、鍼治療があたかも危険と背中合わせであるかの様な説明をしたことを、年配者の記憶に残っているのかもしれない。
また、中国バリの治療映像で、「長い」、「太い」鍼を何本もさしているのを見て恐怖心を拭いきれないのかもしれない。 実際には、「細い」、「短い」鍼を、足や背中のツボに2~3mm刺すだけで、痛くも痒くもないのに・・・
この点は、先生方の説明不足ではなかろうか。
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